午後、面談室で、
A医師(=Mr.脳外)から一人で手術前説明を受けた。

本来は家族同席なのだけど、
夫への手術説明は、私の術前検査の結果と共に外来時に終了していた。
(本人以外の記名が必要な書面には入院前に記名してもらって持参した)

“一人で手術を受けられる”と言うのが私の大前提だったので、
このシステムは大変ありがたかった。

夫は自分で調整できないようなスケジュールが多いし、
年とった両親を、手術前の堅いソファーで、
長時間不安なまま待たせるなんてことはしたくなかったから。
(これはテレビの見過ぎ。M記念病院にはとても居心地の良いデイルーム有り。




外来で夫と共に詳細説明を受けていたので、
入院日の手術前説明は、私にとっては二回目みたいなものだった。


A医師(=Mr..脳外)は、いつものクールな感じで、
「今までの説明と重なるところもあるけど。」手術の詳細を説明。

いつものように分かりやすい。

話しながら同意書にどんどんサインしていった。
山のような同意書。
この間、一切無駄口は無し。

A医師の自信たっぷりな落ち着いた態度とその声のおかげで、
気が付いたらもう怖くはなくなってた。

すっかり怖くなくなった私は、怖いもの知らずで、
「今日の先生のご予定は?」
「明日は私は寝ているだけで、頑張らなくちゃならないのは先生ですから。」
なんて質問してしまった

A医師は、ちょっとビックリしたみたいだったけど、
「そういう質問はいいことだと思います。」
「僕は、お酒は飲まない。手術前は絶対節制してるから安心しなさい。」
とおっしゃった。

そして、
片側顔面痙攣の手術は、
日常困っている人を困らない日常に戻すための手術です。」


「痙攣だけ治って、
でも他に日常に不都合が出てしまいましたなんてことではだめなんです。」
それぞれの患者さんの日常をトータルで考えなくてはいけません。」
「ようするに、病気を治療するだけではなくて、
人間を治療するっていう考えで臨まなければならないんです。」


片側顔面痙攣の患者さんは、
皆さん周りが思っているよりよほど困ってる
困らない日常を手に入れるために頑張りましょう。


とお話しを続けられた。
実は結構おしゃべりさんだった


私は、A医師のお話しを聞いてとっても安心した。
安心してまた泣きそうになった。
朝からずっと、楽しいな素敵だなってテンションあがってるつもりだったけど、
やっぱり不安だったのかな。
気づかなかったけど。。。


医師は私に分かる言葉で真剣に応えてくれる人だった。


A医師との面談を終えて思っていたのは、
望んだような結果がでなくても、
これでもう私は後悔しないなってことだった。


私は、A医師に手術をお願いした自分にとっても満足していた


手術前説明』は、『いつ・誰と』の病院規定は様々。
もしも一人で手術を考えていらしゃる方は、外来予約前に要確認




KoKoRoの声

3回目に夫と共に外来でお会いした際はもう大丈夫と思っていたけれど、
手術前説明のこの日、
A医師に一人で会うのはやっぱりちょっとだけ怖かった

もし、万が一A医師がこのブログを読んだら、
「ウソだろ~。ショックだ。」と言うに違いない!
多分椅子からずっこけてるかも。

病気になってから、
「ストレスを克服できない自分」
「自然治癒できない自分」
そんな自分にがっかりして、
いろんなことに不安を感じていたから、
いろんなことをいつも以上に怖く感じていたのかな。

そんな風に思う。

今、元気になった私は、
A医師を怖いなんてちっとも思っていないから。


手術の具体的内容はこちら


退院してから色々お勉強しています。
手術前に知っていたら安心できたのに・・・と思ったことをご紹介しますね。
2014.09.07「信頼~師弟関係♡医師と患者~」
2014.10.26「不安の解消法~正解はどちら?~突入と回避」
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手術の具体的な方法について書いておこうと思う。

私の場合は、手術に付き添えない夫と共に、
入院前の外来で、既に手術前説明をじっくり時間を掛けて聞いていた。

それでもこの日、
片側顔面痙攣(hemifacial spasm)の頭蓋内微小血管減圧術について、
A医師(Mr.脳外)は、図を用いながら更に分かりやすく説明してくれた。
以下、M記念病院の場合。


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◆頭蓋内微小血管減圧術について
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1.名称
英表記:MVD=microvascular decompression
頭蓋内微小血管減圧術/脳神経減圧術/ジャネッタ式(俗称)など、
名称は異なるが同様の手術
間に物を挟むトランスポジション方法と、
血管を釣り上げて離すインターポジション方法に大別される。



2.手術の概略
当日、耳の後ろの髪の毛のごく一部を除毛  

 直線状に皮膚を切開

頭蓋骨に500円玉程度の穴を開ける

硬膜を切開

髄液を排出

 くも膜を切開

 小脳を軽くへらで押さえながら、顔面神経を圧迫する血管を移動
       A医師は、ほぼ押さえないとのこと(お仲間さん情報)
 フィブリン糊製剤べリプラストP コンビセット使用)で固定

髄液を補充

硬膜を元通り縫合

 頭蓋骨、筋肉、皮膚を塞ぎ

終了  イメージできるかな 

 診療明細書から。A医師には未確認。

血管の移動、固定は、手術用顕微鏡下で行われる。
責任血管を吊り上げ、骨側に移動し接着する方法(=トランスポジション法が原則。
○術中聴性脳幹反応(ABR)のモニタリング。(聴神経への負担の程度を確認)
減った髄液分は、人口液を補充。
髪の毛は事前の剃毛ではなく直前に一部のみを除毛。(皮膚を傷つけない



3.その他

通常、入院予定期間10日間。
術後の体調によって、抜糸前、入院4日で退院も可能。
ただし、約半数が痙攣が残ったまま退院。
完全痙攣消失率90%(2016年4月現在)






以上が手術方法の説明。
つまり、
髪で隠れてしまう場所に小さな穴をあけて、
かなり脳の深いところで問題を起こしている血管を、
迷惑にならない場所にしっかり移動する手術。



高度な技術が必要とされるのは、
手術顕微鏡下で行う血管移動部分。

脳幹部付近で側を走行する
聴神経、舌咽神経などを傷つけないよう配慮しながら、
顔面神経を圧迫している責任血管を、
適切かつ安全に移動、固定
させなければならない
とのこと。


責任血管の状態によっては、
トランスポジション法を取れずインターポジション法を取る場合もあります。
その場合、治癒率低下、再発率は高まることになってしまうけれど、
安全に手術を終えることを最優先させます

とのこと。



またA医師は、
開頭範囲の設定こだわりを持っている
ともおっしゃった。



私の場合は、
乳突蜂巣という耳のすぐ内側にある空洞部分にも穴を開けなければならないので、
髄液漏れのリスクが高まる。
「先生のこだわり的には、他からのアプローチではダメだったってことですよね。」
とは敢えて口に出さなかった。
(出せなかった。。。)




同じ病気の同じ手術のように見えても、、
A医師が、MRI画像やCTから頭蓋骨や血管の状態を判断して、
一人一人のための「手術戦略」を立てて下さっている事がよく分かった。



それにしても・・・
私って、いつでも少数派に入ってしまう。。。






◆KoKoRoの声◆

『 適切 』って言われると、
誰もが「そうですよね!」って納得するけど、
実際「じゃあ、適切って何?」
と問われると応えられない魔法の言葉だと思う。
自分の手術が適切だったのか否かは、
実は患者には分からないからこそ、
信頼できる執刀医師を選ばなければならない




NEW2017年1月
隋液について少々調べました(豆知識に記載)
『グリンパティック系は凄い!~脳は寝ている間に大掃除~睡眠の偉業』
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-596.html

実際の手術ミスについてご紹介しています
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-412.html

2016年、『アンの日記』を続けたから書けました。
『私の執刀医について~微小血管減圧術の症例数をみて』
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-547.html

A医師の手術室のイメージはこちら
「片側顔面痙攣 M記念病院~③手術のイメージはF1チーム!」
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-86.html

私の実際の手術時間・治療経過概略はこちら
「病院選びの大切さ~微小血管減圧術を受けて~私の治療概略」
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-100.html

手術の際の除毛について
「正解はどちら?~除毛か剃毛か?~」
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-95.html

★重要★
 
トランスポジション法についての説明はこちら
「医師にして欲しい大事な質問」
http://20140403az.blog.fc2.com/blog-entry-16.html

手術にはリスクはつきものだと誰もが知っている。
脳神経外科手術では、手術に伴うリスクは他の科より多いんじゃないかなと想像している。
片側顔面痙攣手術のリスクについて、用意された紙面を見ながらもう一度A医師と確認した。

手術側の聴力障害  数%の頻度。耳鼻科と協力して治療。
手術側の顔面神経麻痺  起こり得る。
●声のかすれ、飲み込み辛さの症状  ほとんどの場合一時的。耳鼻科と協力して治療。
●脳の膨張、脳圧の上昇 脳神経外科で対処。
●頭痛、めまい、嘔吐などの諸症状  術後多くの場合出現するが一過性。
●発熱、感染  多くの場合一週間程度発熱。抗生物質使用で対処。
●髄液漏れ  感染のリスクが高くなる。順次対応。
●予期せぬ出血や脳梗塞、その他持病の影響  状態悪化の場合、内科との連携で治療。
●エコノミークラス症候群  個々の全身状態に応じて、計画的に事前に対処。
●手術で使用するフェブリン糊によるリスク  感染症、アレルギー反応など
●輸血した場合のリスク  これまでに輸血はなし。安全対策として準備

主として出現する三つの障害の頻度は
聴覚障害 > 顔面麻痺 > のど周辺部の一過性機能障害

でも、2013年の、A医師の実績は、
聴覚消失0% 聴力障害1名、顔面麻痺がやや残った患者1名だった


私の場合は乳突蜂巣に穴を開けての手術になるので、通常の手術より髄液漏れのリスクが高いことも再度確認。
正直、髄液漏れについては、漏れたら入院が長くなるな程度にしか気にしていなかった。先生が治してくれるからきっと大丈夫そう思ってた。


手術が成功して、確実に減圧できても、痙攣が消失するのは90%。10人に1人は治らない。
血管の状態によって、インターポジション法の手術となった場合成功率は更に低くなる。



聴覚神経を犠牲にしてもいいから血管を顔面神経から離して欲しい
と言うのが、私の本心だった。
確実に片側顔面痙攣が治るのなら、片耳が聞こえなくてもいいし、
多少のどの使い勝手が悪くなっても全部我慢できる自信があった。


声を失っても足が欲しかった人魚姫の気持ちが、私にはよく分かった。



でも、A医師にはそんな私の気持ちは通じなかった。


あたりまえか・・・。
物語みたいに、悪い魔女がいたら願いは通じたのかもしれない。


神様みたいなA医師が最後におっしゃったのは、
「ここで止めて帰る人もいるよ。」
だった。

A医師は、最後の最後まで私に選択肢を示して下さった。

片側顔面痙攣“ 選択の自由がある病気 ”って書いたのは私だけど、
時として、自由があるのってとっても大変。
できれば、人に決めてもらいたくなってしまう時もある。
流されてしまう方が楽なこともある。
でも、それでもやっぱり、自分で決めるからこそ後悔がないんだと思う。
ちょっと大げさになっちゃうけど、自分で選んだ人生の先にこそほんとうの幸せってあるんだと思う。

病気になったら、そんなことまで考えた。

いろんな事を立ち止まって真剣に考えることって、大人になるとなかなかない。
病気のおかげでいろんな事を真剣に考える時間ができた


やっぱり ものは考えよう 



ものは考えようって、治癒率をあげてくれる言葉みたいです。
  選択の自由のある病気♪についてはこちらを読んでみてくださいね。
  2013.11.16 「選択の自由のある病気♪~自分次第の治療方法~」